経営企画 AI活用 ・ 提言1 ・ 動く試作
その決めごとに、その手間はいりますか。
軽い決めごとに、重い話し合いがかかっていないか。案件ごとに「話し合いにかけた手間」と「決めごとの重さ」を並べ、釣り合っていないものを見つけて、軽いものは会議なしの書面で決められるようにする。話し合いは部門の仕事時間の約3割を占める最大のかたまり。ここに初めて値札をつける。
2026-07-04 ・ 画面の数字はすべて架空の見本 ・ 相手先の社名は伏せて「自社」と記す
ひと言でいうと—
軽い決めごとを、重い会議から解放する/
まず自分の部門から試し、効かなければ自分で止める
要件定義
このAIは、何者か
動くデモの前に、狙い・解決するペイン・何をするAIか・ユニークさ・世界初はどこか・自社にどうFITするかを先に定義する。ここが提言の背骨で、下の画面はその「実際のイメージ」。
軽い決めごとに重い話し合いがかかっている「手間のかけすぎ」を、案件ごとに見つけて、軽いものは会議なしの書面で決められるようにするAI。
狙い
部門の最大の時間のかたまり——合意形成(全体の約3割・年およそ3万時間)に初めて値札をつけ、決め方そのものを制度として変える。会議を速くする効率化ではなく、低リスクな決めごとの会議自体を無くす。
解決するペイン
低リスクの案件にまで過剰な根回し・会議がかかる。しかも誰も手間を測っていないため、削減の対象にすらできない。稟議・根回し・同調圧力という日本的組織の最大の時間の穴。
何をするAIか
案件の基本情報(金額・やり直せるか・前例・関係部門数)を読んで決めごとの重さを判定。手間(会議回数 × 人数 × 時間)と重さを突き合わせ、釣り合わない「かけすぎ」を検出する。AIは参考スコアに徹し、やり方を変える最終判断は部門長が署名する。
なぜ今
合意形成が3割を占めることは業務棚卸で判明済み。基本情報からリスクを判定するAIが実用域に入り、会社の入力フォームで記録の仕組みが特別なつなぎ込みなしに作れる。条件が初めて揃った。
ユニークな点
「1件ごとの手間 × 中身から見たリスク × 決め方の制度変更 × 結果の追跡」を1つに束ねたこと。既存はどれも部品どまり。加えて、失敗時の非難を避けたい「保険の心理」を、会議を選ぶ側に理由記載を求める設計と失敗時免責で正面から消しにいく。
自社にFITする理由
部門全員分の業務棚卸データ + 稟議の日付 + 経営会議の記録という自社だけの持ち物があって初めて、90日で立ち上がる。汎用の市販ソフトでは真似できない。まず自部門に刃を向けることで、差配者が横展開の政治的資本を作れる。
世界初はどこか(誇張しない)
部品は全部、市販で存在する。公開情報で確認できる最も近い例は Zip(調達承認の簡素化)/Bain(意思決定の労力診断)/Celonis(承認プロセスの可視化)/Flowtrace(会議コストの計測)。だが「案件ごとの合意形成の手間 × 中身から見たリスク等級 × 決裁経路そのものの制度変更 × 採否と結果の前向きな追跡」を1つに束ね、稟議一般に当てる形は見当たらない。「世界初の概念」ではなく、この統合形を自社データに錨づけて最速で実装するのが取りに行く一番乗り。
記録から、判定・地図化・検出・軽い決裁・結果追跡まで。AIが担うのは判定と地図化で、決めるのは人。
ここから下は、実際のイメージ(動くデモ)—
数字はすべて架空の見本。上の要件を画面にするとこうなる、という試作。
この画面が見せるのは、「手間のかけすぎ」がどこで起きているか。
下の図は、点ひとつが1件の決めごと。横に行くほど「決めごとが重い(あとで取り返しがつかない・影響が大きい)」、上に行くほど「話し合いに手間がかかった(関わった人数 × 時間)」。左上の濃い区画が、軽い決めごとなのに話し合いに時間が溶けている「かけすぎ」の場所。ここを見つけて、会議なしの書面で決められるようにするのがこの取り組み。数字は自動で集まる会議・稟議の記録から出した下限値で、廊下での立ち話や事前の根回しは含まない(つまり実際はもっと多い)。
地図
手間 × 重さ の地図
点にカーソルを合わせると、その決めごとの中身が出る。色は濃いほど「見直したい」——濃い点が手間のかけすぎ、淡い点が釣り合い、中間が「逆に話し合いが足りないかもしれない」もの。信号機のような赤緑は使わず、濃さだけで軽重を表す。
手間のかけすぎ(軽くする候補)
釣り合っている
話し合いが足りないかも
30秒の入力
会議1回ごとに、進めた人がこれだけ入れる。会社の入力フォーム(Microsoft Forms)で作れて、特別なつなぎ込みはいらない。打つと下の図に点が増える。
一覧
決めごとごとの見分け(手間の多い順)
見分け方は単純。軽い/中くらいの決めごとなのに手間が全体の真ん中より上なら「かけすぎ」。重い決めごとなのに手間が下の方なら「足りないかも」。それ以外は「釣り合い」。手間 = 会議の回数 × 出席人数 × 時間。名前は伏せてある。AIの判定はあくまで目安で、やり方を変える最終判断は部門長が署名する。
進め方
90日で、どこまでやるか
いきなり全社のルールは変えない。まず自分の部門の、部門長だけで決められる案件から試す。うまくいかなければ、3ヶ月でやめる。
見るものさし
効いているかの測り方と、やめる線
高い数字を作りにいくのではなく、効かないなら自分で止めるための測り方。濃い印ほど「その線を割ったら赤信号」を意味する。
90日で見る4つ
入力の定着:記録フォームが8割以上の会議で埋まっているか。
かけすぎの実在:手間と重さのズレが本当にあるかを10件で確かめる。統計的な証明は1年かけると最初に断る。
重さ判定の精度:AIの判定が人と8割合うか。合わなければAIは判定から外し、根拠の抜き出しだけに格下げする。
軽い経路の承認:部門長裁量の試し経路を1本、実際に通す。
3〜6ヶ月で見る本番のものさし
いちばん大事:軽い経路が使われた割合が5割以上。下回れば「みんな結局は保険で会議を選んでいる=仕組みは絵に描いた餅」と自分で判定する。
決まるまでの日数が、比較用の案件より短くなったか。
浮いた手間の年間換算。ただし別の仕事に使えたと確認できた分だけ数える。
軽い経路で決めた案件が、半年後に差し戻しやトラブルを比較用より増やしていないこと。
やめる線:3ヶ月で使われた割合が5割に届かなければ、だらだら続けずに正式にやめる。重大なトラブルが1件でも出たら、その場で元に戻す。
数字はすべて架空の見本。実データにつなぐ前に、部門長・内部統制・法務へ「何が見えるか」を見せるための、動く模型です。手間の数字は会議・稟議に残る分だけの下限値で、根回しなど記録に残らない分は含みません。効いたかどうかの金額は、この取り組みのものさしで自分たちで測って確かめるもので、先に断定はしません。似た試みは世界にいくつかありますが(買い物の承認を速くする道具、会議のコストを見せる道具、意思決定の手間を診断するコンサルの手法など)、「1件ごとの手間 × 決めごとの重さ × 決め方そのものの変更 × 結果の追跡」を1つにつなげ、稟議全体に当てる形は見当たりません。部門全員分の仕事の棚卸しデータと、過去の会議記録という自社だけの持ち物があって初めて、90日で立ち上がります。